【最新】欧州自動車:電動化率とCO2規制の達成状況(2021年上半期終了時点)

Electrification

環境規制当局対して技術的および科学的分析を提供する環境NGO、国際クリーン輸送協議会(ICCT:International Council on Clean Transportation)は、8/10、直近21年上半期(1月~6月)における欧州新車販売台数および各社のCO2規制達成状況に関わる
レポートを発表しましたので、今回は、その内容について解説したいと思います。
(21年第1四半期時点のレポートはここから)

欧州新車販売状況(21年上半期:1~6月)

新車登録台数(乗用車)

  • 21年6月は、前月5月同様、約100万台の新車登録で、前年比8%増。1-6月の上半期ベースでは、前年同期比24%増の水準で推移(注:ただし、コロナ前水準の19年1-6月と比較するとまだ-23%程度で依然推移)

BEV/PHEVの販売シェア

6月単月ベースで、

  • BEVの販売比率が一番高いのはTesla-Honda連合(84%)。次にDaimler(12%)が続く。
  • PHEV比率が目立つのは、Ford-Volvo連合(23%)を筆頭に、DaimlerとBMWともに(17%)と高い。
  • 単月ベースで初めて、BEV単体の平均販売シェアが10%の大台(PHEVと合わせると19%)

1~6月(YTD)ベースでは、

  • 平均:BEV7%、PHEV9%、計16%で推移(←2020年の11%から5ポイント上昇。特にPHEVの伸びが目立つ。5→9%)

ちなみに、21年6月の欧州における車種別販売ランキングは以下の通りです。(JATOより)

  • Tesla model3が再びBEV販売トップになり、ICEを含めたOverallの販売台数でも2位にランクイン。
  • PHEVは、Ford Kugaが好調を維持している事が分かります。

2021年CO2目標値(WLTPベース)の達成状況(1-6月のYTDベース)

  • 全社平均では既に2021年目標値を達成するレベルに来ているものの、ワーストはTesla-Honda連合のPoolingから抜けたFCAが14g未達の状況
  • その他、Hyundai、VW、Renault-Mitsubishi連合が3~5gの未達の状況。
  • Tesla-Honda連合は、93g可達の状況。

欧州の電動車比率(BEV/PHEV)について(21年1-6月YTD)

  • 依然、北欧勢が高い電動車率を維持。
  • ノルウェー(83%うち、2/3がBEV)を筆頭に、アイスランド(48%)、スウェーデン(40%)、フィンランド(28%)、デンマーク(27%)と北欧勢が続く。
  • 欧州主要市場では、ドイツがもっとも高く(23% ※内、BEV11%、PHEV12%)、フランス(16%)が平均並み。イタリア(7%)、スペイン(6%)が依然低い状況。

小型商用バン(LCV:light commercial vehicle)の状況について

  • 6月単月、およびYTDベースで見ても、BEVの平均シェアは3%(2020年の2%から1ポイント上昇)。
  • 2021年CO2目標値(WLTPベース)に対しては、
  • 現状、全社未達の情報(平均7gの未達)※21年から適用されているMass Correction Factorの影響で各社厳しい状況
  • 最も目標値に近いのは、登録台数が最も多いFCA-PSA連合で3g未達。その他は10gの未達。

まとめ

  • 欧州での自動車販売台数は、コロナの影響を受けた昨年2020年と比べると24%増の水準で推移していますが、コロナ前2019年の水準には程遠く、19年比では23%マイナスで推移。
  • 直近21年6月においては、欧州全体での平均でBEVの販売比率がついに10%の大台へ(PHEVと合わせると19%)
  • 国別には北欧が突出して電動化率が高いが、自動車主要市場という意味では、ドイツが1歩2歩リードしている状況。(BEV/PHEV合わせて23%)
  • 自動車各社の21年CO2目標値に対して、一部を除き、概ね達成できるレベルに既に到達している状況。(Teslaとの連動を抜けたFCAがワーストで14gの未達)
  • 商用車バンは、目標値の計算に使われる車両平均重量の係数が21年から変わったため、目標値に対してより厳しい状況。

またUpdateが出次第、ご報告したいと思います。

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