欧州自動車CO2規制の理想と現実とは?

Regulation

こんにちは。ヌマッチです。

本日、日経新聞からこんな記事が出ておりました。

日本電産が2023年をメドにセルビアにEVの駆動モーター工場を立ち上げるというものです。

記事にもありますが、欧州では20年、21年と段階的にクルマに対する新しい二酸化炭素(CO2)排出規制を導入する事になっており、この規制レベルが半端なく高いのです。

多額の罰金

この規制を満足しなければ多額の罰金を支払うか、テスラのような規制を満足できる会社からCO2クレジットをお金で購入して何とか規制を満足するといった2択になるわけです。

よって、昨日のブログでも書いた通り、ホンダはテスラからCO2クレジットを購入する事が発表されたいう事になります。

UKのある調査会社の試算では、2021年にホンダが支払う罰金額は、約3.2億€(約380億円)にも及びます。
欧州での販売シェアが1%未満(2019年実績:0.8%)のホンダでさえ、この金額なのです。

我らが日本の自動車メーカーのトップ、トヨタが現在2021年規制をクリアする先頭に立っているのですが、そのトヨタでさえ、来年の規制はギリギリといったところかもしれません。

欧州でのトップシェアを誇るフォルクスワーゲン(VW)は、なんと5,400億円レベルの罰金が予想されているのです。

日産、マツダ、スズキ、スバルなど、どのようにして今後この21年規制に対処していくのか注目がされるところです。

急激なEV化がもたらす弊害とは?

日経の記事にもありますが、21年から各自動車メーカーでは平均CO2を(これまでは130gから)95g以下に抑えなければなりません。

ただ、欧州のCO2規制はこの先が凄まじく厳しい規制が待っているのです。ざっくり言うと、

2025年:80g
2030年:60g

のレベルです。そしてなんと、この2030年規制も更に厳しくするべく現在検討されているという状況です。

もはや、新車販売の半分をEVにしても届かないレベルとされており、現実離れした規制と言わざるを得ないかもしれません。

急激な電動化(EV化)がもたらす弊害は何のか、冷静に考えてみましょう。

以下が挙げられるのではないでしょうか。

  • 電力供給や充電インフラが付いて行けないと混乱する
  • 自動車や部品産業が傾くと失業が社会問題になる
  • 車両価格が下がらず、低所得者層がクルマを購入できなくなる
  • 新車代替にブレーキがかかると古いクルマが残って大気環境にむしろ逆効果

などが懸念されるため、社会全体が付いて行けるスピードで電動化が必要とも言えるでしょう。

そして今、まさに欧州委員会はこの2025年、2030年の自動車CO2規制についてパブリックコメントを実施しています。
自動車メーカーのみならず、環境NGOや調査機関、行政サイドからも様々なコメントが予想されます。

テスラや、中国新興EV企業の進撃に立ち向かう欧州自動車業界ですが、膨大な自動車サプライチェーンの中で働く人の雇用を維持しつつ、国際競争力を損なう事なく、どう折り合いを付けていくのか、

欧州での動きがまさに世界の試金石になってくる事は間違いなく、このコロナで大ダメージを喰らった自動車メーカーの今後に目が離せません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました