欧州の自動車メーカー団体(ACEA)は、
昨日(2/4)、2020年における乗用車の燃料別販売台数を発表しました。
シンプルに言うと、ガソリン/ディーゼルなどの従来型のクルマや、ハイブリッド車、電気自動車など、クルマの種類によって昨年どれだけ売れたかのデータです。
注目すべきは、ついに、電気自動車の数が
ハイブリッド自動車を超えてきたというニュースです。
この記事では、
クルマの電動化が日本よりもはるかに先行するEUの“今を”理解するため、重要な内容となっていますので是非ご覧ください。
電気自動車の販売台数がついにハイブリッドを抜く
発表されたデータによると、
2020年の第4四半期(以下Q4)において、
統計開始後初めて、4半期ベースで電気自動車の販売台数がハイブリッド車を超しました。
下記の円グラフで示されるように、
ハイブリッド(HEV:Hybrid electric vehicles)15.1%に対し、
電動車(ECV:electrically chargeable vehicles)が16.5%となり、
初めて逆転したとのこと。
しかも、このECVの年間台数が初めて100万台を超したのです。
ここでちょっと注意していただきたいことは、
ヨーロッパでは、
電動車の区分をよく“ECV”という言葉にして統計データが整理されます。
実は、この“ECV:electrically chargeable vehicles”という定義には、
電気なり水素なりをクルマにチャージし、
その電気からモーターを駆動して動くクルマのことを指します。
要するに、ECVには、
いわゆる100%電気自動車(BEV:battery electric vehicles)だけではなく、
プラグインハイブリッド(PHEV:plug-in hybrids vehicle)や、
燃料電池車(FCEV:fuel cell electric vehicle)を含んでいます。
※ちなみに、日本で電動車というと、さらにHEVも含むのでここがEUとの違いです
したがって、
これらBEV/PHEV/FCEVを総称した“ECV”の販売台数がToyotaのプリウスに代表されるようなハイブリッド車を超えたというものです。
このECVの販売シェア16.5%というのは・・・・
言い換えれば、新車の6台に1台が、BEVかPHEVということです。
今の日本ではあまり想像できないレベルで急速に普及しているんです。
ここで、もしかしたら、
「はいはい、そうは言ってもどうせBEVじゃなくて、PHEVがほとんどなんじゃないの⁇」
と思った方も多いのではないでしょうか?
実はPHEVよりもしっかりBEVの方が多いのです!!
ヨーロッパでは日本に比べて、PHEVのラインナップも当然多いですが、
それ以上にBEVのラインナップも多く、
日本では全く聞きなれないモデルも含めて
現時点150以上あると言われています。
実際、PHEVとBEVの販売台数を比べると、
(2020年Q4)PHEV 22.7万台、BEV 24.8万台
(2020年通期)PHEV 50.7万台、BEV 53.9万台
と、そこまで大きな差ではないものの、
既にしっかりBEVの台数が伸びている事が分かります。
しかも、ヨーロッパ最大市場のドイツでは、
2020年Q4のBEVの伸び率は、前年比約6倍と急増したんです。
これは、昨年コロナの影響で、各国政府がクルマの新車購入補助金として
お金を提供してくれたおかげと言われています。(2020年11月3日記事参照)
2020年ガソリン・ディーゼルは大幅に縮小
下記の円グラフは、2019年と2020年の種類別シェア比較のグラフです。
一目瞭然ですが、、
ECV:3% → 10.5%(3倍に増加)
HEV:5.7% → 11.9%(2倍に増加)※日本はここが4割程度
一方、
ガソリン:57.8% → 47.5%に減少
ディーゼル:31.6% → 28.0%に減少
となっており、台数ベースでは、いずれも
ガソリン-37%、ディーゼル-32%と大幅な減少を記録しました。
(2021年1月19日関連記事参照)
とは言っても、
ガソリン・ディーゼルが占める割合がまだ全体の3/4を占める一方で、
日本とは違って、欧州ではハイブリッド車(HEV)を飛び越した電動化へのシフトが急加速しているという事なんですね。
まとめ
- ヨーロッパでは、ついにBEV/PHEVの年間販売台数が100万台を突破し、
ハイブリッド自動車の数を超えてきました。 - そのシェアは10%を超えて、2020年Q4ではなんと6台に1台がBEV/PHEVという状況。
- 政府の補助金に後押しされながらも、
世界一厳しいとされる欧州CO2規制を達成するため、
というよりもなんとか罰金を回避するため、欧州でビジネスをする自動車メーカーは電動化シフトへの加速に
しのぎを削っているのです。
今日もご覧頂きまして有難うございました。
もしよろしければSNS等でシェア頂けますと幸いです。
コメント