先日、ACEA(欧州自動車工業会)は、2021年10月度の欧州における新車(乗用車)販売統計を発表。
その数字が10月単月としては、なんと、、、統計開始以来、最低を記録したので、今回その中身を解説しつつ、国別、メーカー別では直近どのような動きになっているのか深掘りしたいと思います。
10月度は統計以来、最低を記録
先ず、今回発表された統計データを要約すると以下となります。
10月単月:(マルタを除くEU26カ国)
- 半導体不足の影響を受け、前年同月比▲30.3%(統計開始来最低水準)となり、7月から4か月連続前年割れ
- 国別では特にイタリア(▲35.7%)、ドイツ(▲34.9%)、フランス(▲30.7%)、スペイン(▲20.5%)と自動車主要国でも3割を超す大幅な下げを記録。(※UKも▲24.6%)
年初来(1~10月):(マルタを除くEU26カ国)
- 前年同期比+2.2%と辛うじて前年を上回る水準を維持(※ただしコロナ前の2019年比では依然▲25%レベル)
- 主要マーケットの国別では、イタリア(+12.7%)、スペイン(+5.6%)、フランス(+3.1%)とプラスを維持するも、ドイツは▲5.2%と前月からマイナス幅を拡大している状況。
【資料】ACEA資料から抜粋
半導体不足が依然、極めて重大な影響を与えている
このように見ていくと、いかに半導体の不足が各自動車メーカーに対して極めて重大な影響をもたらし、自動車生産の減産そして、販売減につながっている事が分かります。
とりわけ、今年1月からの年初来累計台数では、春前後の月では大幅に昨年を上回り、順調に回復してきた感はありましたが、夏以降4か月連続の前年割れ、10月に至っては、3割減となったのです。
1~10月の累計台数総数としては、まだ昨年2020年を辛うじて上回っていますが、この状況を考慮すると、コロナで影響を受けた昨年レベルさえもクリアできない事が予想されています。
ドイツは既に前年割れ水準
また、国別では、欧州最大の自動車市場であるドイツが、既に前年割れ(約▲5%)水準に落ちており、昨今のコロナ感染者急浮上(下記グラフ参照)により、1日当たりの感染者が6万人を超えるなど、過去最高を更新し続けており、更に厳しい状況におかれています。
ドイツのみならず欧州では全域で、第4波が猛威を振るっており、2021年第4四半期(10~12月)の自動車販売を取り巻く環境は非常に暗いと言えるでしょう。
【資料】worldometersから引用
メーカー別ではヒュンダイ、トヨタが好調を維持
メーカー別(年初来データで)で見ますと、主なトピックスは以下となります。
- ボリュームの大きい、VWグループ、Stellantisグループは共に前年同期比+2~3%レベル(10月単月だと▲44%/▲33%と大きく減少)とほぼ前年同期比水準に落ちてきている中、
- 最も台数を伸ばしているのは、先月から引き続きヒュンダイ(+20.3%)で販売シェアも1ポイント以上アップし8.5%となっている。
- 次いで、トヨタ(+15.7%)となっておりこちらもシェアを0.8ポイントアップ。
- 一方、Renaultグループは▲9.4%とボリュームが大きいグループとして依然下げ幅が大きい。
- 日系自動車メーカーで見ると、日産(▲14.8%)、三菱(▲30.0%)、ホンダ(▲20.4%)と大きくマイナス水準である一方、マツダは(+13.2%)と盛り返している。
【資料】ACEA資料より抜粋(Linkはこちら)
このように、メーカー別は、いわゆる欧州市場をメインに扱う、ドイツ、フランス勢のVW、Stellantis、Renault、Daimlerグループが軒並み苦戦を強いられる中、
以前このブログ内でも紹介した通り(参考記事:【欧州:最新自動車事情】欧州で一番シェアを伸ばしているのは実はトヨタ !!)、トヨタやとりわけ韓国勢のヒュンダイが好調を維持しており、シェアを上げているのです。
これは、トヨタ・ヒュンダイともにハイブリッド自動車を提供しているメーカーでもあり、欧州においても足元ではハイブリッド自動車の販売が堅調。加えて、ヒュンダイはBEV(電気自動車)の販売も好調な事から、これら事象がデータに表れているという事です。
果たして、今年も残り2か月、11月、12月度の動向はまた追ってレポートしたいと思います。
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