【最新:2022年1月度】ドイツ、電動車比率が36%→21%に急減 !! その理由とは?

Electrification

今回は、2022年1月の欧州販売統計が発表となり、その内容を解説するとともに、欧州最大市場であるドイツの電動車販売比率が(35.7%→21.6%)に急減した理由について解説します。

✔本記事のもくじ
  • 1.2022年1月度の欧州新車販売状況
  • 2.ドイツ 電動車販売比率の状況
  • 3.2022年1月、電動車比率急減の理由とは?

1.2022年1月度の欧州新車販売状況


【出典:ACEAリリースより】

ACEA(欧州自動車工業会)は2/17、2022年1月度の乗用車新車販売台数を発表しました。

✔主なポイントは以下:

  • 上記22年1月も前年同月比‐6%(682,596台)と1月としては記録的な低水準の台数(昨年7月以降7カ月連続の前年割れ

<国別では>

  • 主に中央ヨーロッパ諸国で増加が見られ、特にスロバキア、ルーマニアなどは前年比1.5倍以上を記録
  • 一方、西ヨーロッパ諸国はほぼ減少しており、5大市場の状況は、減少:イタリア(▲19.7%)、フランス(▲18.6%)と下げ幅が大きい。増加:ドイツ(8.5%)、スペイン(1.0%)、<UK(27.5%)> ← UKの上げ幅が目立っていますが、これは昨年1月コロナの影響でUK国内の販売店ディーラーが閉鎖されていた反動が出ています

<メーカー別では> ※詳細は下記表を参照

  • 依然、Hyundai/Kiaが好調を継続前年比+28.7%を記録。シェアも7.1→9.7と大幅上昇
  • 欧州メーカーは苦戦(VW:▲7%、Stellantis:▲15.1%、Renault:▲3.5%、BMW:▲9.2%など)
  • 日本車メーカーは、トヨタ(+9.7%)、日産(▲22.2%)、マツダ(17%)、三菱(1.9%)、ホンダ(10.7%)


【出典】ACEAリリースより

このように、半導体不足というサプライチェーン問題が依然解決されないまま、今年1月も前年割れを記録したわけですが、ACEAは2022年通期の予想を、前年比約8%増の1050万台と見込んでいます

 

2.ドイツ 電動車販売比率の状況


【出典】T&Eより

さて、ここから欧州で電動車と位置付けられているBEV(Battery-EV:いわゆるEV)とPHEV(プラグインハイブリッド車)の販売が欧州でどのような状況であるか見ていきます。

先のブログ記事においても説明した通り、2021年通期の電動車販売比率(BEV+PHEV)は欧州全体で18%を記録しました。

上記グラフを見ると分かるように、
EU27各国の平均電動車販売比率は約18%。
ドイツについては、25%を超えている事が分かると思います。
(しかし、スウェーデン、デンマーク、フィンランドなど北欧諸国は本当に電動車率が高いですね、、)


【出典】ICCTレポートより抜粋

また、上記のグラフはドイツにおける2021年の電動車比率を月別に表した図です。
ご覧の通り、年末にかけてきれいに右肩上がりになっている事が分かると思います。
特に、11月、12月に至っては脅威の35%前後を記録するなど、実に3台に1台がBEVもしくはPHEVが販売されていたという事なのです。
このように、欧州CO2規制の基準達成向けて、自動車メーカー各社がBEV+PHEVの販売を強力に推し進めていた事も読み取れます。

 

3.2022年1月、電動車比率急減の理由とは?


【出典】Clean Technicaレポートより抜粋

前の章でドイツの月別電動車率を見てきた訳ですが、昨年2021年12月は35.7%だったところ、今年2022年1月はその値が21.6%に急減しました。
上記グラフはドイツにおける月別のパワートレイン別の販売比率をあらわしたものです。
見て頂くと分かるように、22年1月の部分で急激にBEV、PHEVのシェアが前月から下がっている事が分かると思います。

✔電動車率急減の理由とは?

結論から申し上げますと、1月に急減した理由は主に3点。

  • ① 12月に多くの自動車メーカーは、CO2規制基準を達成(罰金を回避)するため、BEV/PHEVの自社登録を実施します。
  • ② それら車両は、実際には1~2月にかけてお客様に販売されますが、既に12月に登録カウントされているため、新規登録台数にカウントされない
  • ③ 加えて、半導体のサプライチェーン問題により、テスラの販売が1月はほとんどなかった事も一因。

以上のように、一番大きな要因は①②の部分なのですが、
要するに、年末にかけて各社は駆け込みでBEV/PHEVを自社登録しておくので、その反動が1月に出るという事なのです。
実際、昨年(2021年)1月の部分を見ても同様の傾向にある事が分かると思います。
20年12月に登録が急に増え、21年1月に急減しているのはその理由です。
またこれは、ドイツのみならず、フランス、UKなど欧州の主要市場においても同じ傾向となっているのです。
(日本においても年度末によく見る、販売台数国内1位の座を勝ち取るため、駆け込みでディーラー登録しておいて、翌月販売するといった手法とやっている事は一緒と言えるでしょう。ただ、欧州は規制を達成するため、罰金を回避するため、なのでややモラル的にどうなのだろうと思う部分もありますね、、)

BEVは現在、購入契約から納車まで9~12か月待ちが当たり前の状況です。
それでも欧州の消費者は、現行のガソリン・ディーゼル車などのいわゆる純粋な内燃機関車両の購入を控える傾向にあるとされています。
この状態を”オズボーン効果”と言いますが、各社電動車を積極的にPRする一方で現行車種が売れないという状況もあるので、いわゆるトヨタプリウスのようなハイブリッド車(ストロングハイブリッド車)や、小さ目の補助バッテリーを積んで走行する(マイルドハイブリッド車)を各社は競って市場に投入し何とか、この過渡期におけるビジネス性を成立させようと必死なのです。

それではこの辺で。

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