【最新】ドイツの電動車率が過去最高27.6%を記録（2021年8月）

ドイツ自動車工業会（VDA）は9/3、ヨーロッパで最大市場であるドイツ国内における21年8月度の新車登録台数のうち、EVs（BEV＋PHEV）が占める販売シェアが、なんと驚愕の27.6%と過去最高を更新したとのリリースを発表しているので、今日はこの話題について解説したいと思います。

ドイツ新車販売状況のトピックス（21年8月度）

ポイントは以下の通りです。

8月度の月間登録台数は、前年2020年8月と比べると-23%の水準。（年初来で見ると前年同期比＋2％の水準で、コロナ前水準への回復は依然程遠いレベル）

EVs（BEV＋PHEV）が占める販売シェアは、昨年12月に記録した26.6%を更新し、27.6%と過去最高を記録。（年初来通期では、23.1%）

27.6%の内訳は、BEV14.9%、PHEV12.7%とこれまでBEV/PHEVの比率はほぼ半々で推移していたものの、今回、明確にBEVのシェアがPHEVを上回った形。

ドイツ・車種別販売シェアの推移

下記のグラフは、19年12月からの各車種別（ガソリン/ディーゼル/ HEV/ PHEV/ BEV）における月間販売シェアの推移を現したものです。
ご覧の通り、

たったの1年半程度で急激に緑のゾーン（BEV/PHEV）のシェアを伸ばしている事が分かります。

一方で、黄色のガソリン、ピンクのディーゼルが19年12月には全体の90%を占めていたにも関わらず、直近では50%強の水準まで激減している事が分かります。

なお、HEV（ハイブリッド）には、いわゆるトヨタプリウスのようなストロングハイブリッド車だけではなく、小さな容量のバッテリーを積んで溜めた電気を補助的に使うマイルドハイブリッド車も含んでおり、欧州ではこのマイルドハイブリッドも各社積極的に導入しているのです。

【資料】CleanTechnicaより引用

ドイツ・BEVの販売ランキングTop20

下記のグラフは2021年1～7月におけるドイツのBEV販売ランキングです。
ご覧の通り、
テスラを差し置いて、VWの車種が1位2位を獲得しています。
やはり、日本では馴染みのないBEVのラインナップが非常に充実している事が分かります。
ランキングTop20に日本メーカーがいないというのは、非常に残念な事ではありますが、1年後、どのようになっているのか、見ものだと思います。

電動車率の急激な伸びの背景と今後の見込み

この急激な電動車率の上昇の背景には大きく二つあります。

1点目は、欧州自動車CO2規制への対応です。

2021年から本格的にCO2排出量平均95g/㎞規制がスタートしており、自動車各社はこの規制を達成するべく電動車の投入を急いでいるのです。
21年上半期時点の状況は、以前の記事（【最新】欧州自動車：電動化率とCO2規制の達成状況（2021年上半期終了時点））でも解説した通り、例えば、最大メーカーのVWは目標に対して4g未達の状況で、4gという数字がどれだけ大きな数字かというと、VWの場合、販売台数も多い事から1g未達だけでも2億€（日本円で260億円）の罰金となるのです。つまり、4g未達だと約1000億円を罰金として欧州委員会に支払う事になるという事です。

自動車各社はこの罰金を避けるため、電動車の開発と市場投入に巨額の資金を投じている一方、ビジネスとして会社を維持・発展していかなくてはならず、現状、儲けという意味ではBEVの開発コスト、バッテリーなどの原材料価格が高いなど、ビジネス観点では厳しい状況のため、既存の内燃機関車両（ガソリン/ディーゼル/ハイブリッド車）で儲けを確保しつつ、非常に難しいバランス感覚が求められているという事です。

2点目は、電動車（BEV/PHEV）に対する購入補助金です。

ドイツは、昨年2020年7月に発表したEVs補助金制度（下記表を参照）を当初21年末で打ち切る予定でしたが、政府補助金制度は、25年末まで継続する事を決定しております。

【資料】筆者作成

ご覧の通り、BEV購入で最大120万円の補助金を得る事ができます。
BEV：最大9000€ ※約120万円（政府補助金：6000€＋OEM補助金3000€）
PHEV：最大6750€ ※約90万円（政府補助金：4500＋OEM補助金2250）