【最新レポート】次世代燃料 e-fuelの使用が環境面/経済面で成り立たない理由

Climate neutrality

自動車における脱炭素化技術の候補である
次世代燃料(e-fuel)の活用。

既存のガソリン燃料に代わって、
再生可能エネルギーで精製したゼロカーボン燃料を
そのまま新車のみならず、
既に市場で走っている使用過程車にも応用できれば、
その脱炭素効果は絶大なものになります。

今回の記事ではそのe-fuelの実現性について、
環境NGOのT&Eがレポートを公開(こちら)していますので、
その内容を解説したいと思います。

以前、このブログ内で”e-fuelとは?”という基本的な部分を記事にしていますので、参照になりたい方はこちらからご覧くださいませ。

結論

  • 自動車へのe-fuelの使用は、環境面/経済面で成り立たない
  • 従って、燃料・ガス業界や一部Supplierが要求しているe-fuelへのCO2クレジット付与は行うべきではない。脱炭素コストの増加を招き、安価なBEVの普及にも足かせとなる。

と彼らは結論付けております。

経済面での理由

e-fuelが経済面において成り立たない主な理由として
以下が上げられています。

  • 自動車セクターの脱炭素化技術として、BEV、FCEV、e-fuelなどがあるが、BEVがコスト面、ライフサイクル的にもずば抜けて効率が良い
  • 再エネ由来のe-fuelを使用した場合、BEVの約4~5倍のエネルギーコストが必要となる計算
  • 2030年断面で見た場合、e-fuelを使用する新車/中古車ともに、e-fuel Premium分を考慮するとTCO(Total Cost of Ownership)上、BEVと比べ1万€もしくは43%ほどコスト増となる。
  • しかも、車両価格がBEVよりも約1割高になるため、自動車メーカーにとってCO2 compliance上、最もコストのかかるsolutionだとしている。
  • e-fuel の活用検討は、E-mobilityシフトに向けての集中投資、欧州の競争力維持を阻害してしまうリスクが存在。
  • EUの収益面で見ても、e-fuel促進ケースとBEVを促進するケースとでは10倍もの差が生まれる。
  • 要するに、消費者、自動車OEM、欧州経済のあらゆる面において、経済的に成立しないという主張。

環境面での理由

環境面において成り立たない主な理由として
以下が上げられています。

  • LCAの観点で見ても、BEVのトータルCO2の方がe-fuelの40%も低い試算結果(およそ5~7万㎞走行でBEVが下回る計算)となっている。(REDⅡで規定されているMixの場合)
  • 仮に、100% Renewableエネルギー(風力・太陽光)で製造したe-fuelであってもBEVの方がLCA上、17%程度CO2排出量が低い

全体に関わる主張

  • e-fuel、合成燃料の活用は、一般的にBEV化が困難な航空、海運、重工業への応用を優先に取り組むべき。
  • 自動車CO2規制の枠組みで、これらe-fuelのCO2クレジットをOEMに与える事はすべきではない
  • 各社の電動化に向けた開発投資を遅らせるだけでなく、既存の古いICEが走行を続け、全体の脱炭素化の遅延を招く。
  • そもそも、燃料セクターにはそれぞれ固有の法規で規制がかかっており、自動車CO2規制に取り込む事はより法規の複雑化を増加させ信頼性を失う可能性あり。

このレポートを踏まえて

冒頭にも言及させて頂いた通り、
この次世代燃料を既存の使用過程車に
そのまま活用できれば、

その脱炭素効果は絶大なものになります。

およそ、市場の乗用車が全て置き換わるのは、
約15年程度と言われています。

BEVへの新車代替が進んでいっても、
世の中の乗用車が全てBEVになるのは15年の
月日
が必要という事です。

今まさに、保有している
(内燃機関エンジンをもっている)クルマを
活用できれば、多くの労働者を抱える
自動車業界全体の雇用維持にも
寄与すると言われています。

6月もしくは、7月には、
欧州における2050年カーボンニュートラルに向けた、
パッケージ法案が発表されます。

ここで一体、
どのような法案パッケージとなってくるのか、
燃料セクターへの規制
具体的には、このような次世代燃料の製造割合を
規制化するのか。
また、自動車OEMへの恩恵はあるのか。
これら燃料を使った際のCO2計算をどのように
算出するのか。(TtW⇒WtWに移行?)

などなど、注目点は数えきれません。

またUpdate情報があればご報告したいと思います。

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