【世界発】イギリス・オックスフォード、ゼロエミッションゾーン(ZEZ)の運用を開始

Climate neutrality

イギリス・ロンドンから北西に約100㎞の位置にある、オックスフォード大学で有名なイングランド南部の都市、オックスフォード。

今回はこのオックスフォード市が今週月曜日(2022年2月28日)から世界で初めて、電気自動車(EV)など走行中にCO2を排出しないゼロエミッション車のみ無料で走行できる”ゼロエミッションゾーン”の運用を開始したので、その内容について解説します。

✔本記事のもくじ
  • 1.ゼロエミッションゾーン(ZEZ)設置の背景と目的
  • 2.オックスフォードZEZ制度の内容
  • 3.オックスフォードが課金制度を選んだ狙いとは?

 

1.ゼロエミッションゾーン(ZEZ)設置の背景と目的


まず、オックスフォードがなぜこのようなエミッションゾーンの設置を計画し、実行に移したのか見ていきましょう。

この制度の目的・狙いはシンプルに言うと以下の通り。

  • 自動車排ガスによる大気汚染の改善とCO2削減
  • EVなどゼロエミッション車への切り替えを促す
  • 人々の移動手段の多様化を推進

ここは言わずもがなですが、先ずは市内中心部においてどこの都市も大気環境レベルが悪いためその大気質をクリアにするといった目的と、世界的な潮流でもあるEVなど電動車へのシフトを促し、人々が移動する際の手段としてあらゆるゼロエミッション手段が取れる事を醸成する、いわゆる行動変容を促すものなのです。

実際、今週から制度が開始されたわけですが、これまでの経緯を探ると、2017年にさかのぼります。
先ず2017年に計画の実現可能性を政府が調査し、翌2018年に市民の声を聞くためパブリックコメントを実施。更に2020年に2回のパブリックコメントを経て、昨年2021年3月にオックスフォード市議会にて計画が承認、2022年2月28日から制度開始となったのです。

 

2.オックスフォードZEZ制度の内容


それでは実際に制度の内容を見てみましょう。

✔主な概要をまとめると以下のようになります。

【対象ゾーンと導入スケジュール】

  • まず、本制度は2段階で導入されるのですが、パイロットプロジェクトとしての第1段階は下記地図の紫でマーキングされた9つ道路が対象となり、2022年2月28日から運用開始
  • そして、その第1段階の運用状況を見極めて、濃い緑で色分けされているゾーンに拡大する事になっていますが、実際の運用開始時期などは今後検討となっています。

【対象車両と対象時間】

  • 一部の特別車両を除き、全てのカテゴリーの車両が対象(乗用車、バス、トラックなど)
  • 対象時間は、土日を含む朝7時~夜19時まで

【車種別の課金内容】

  • 下記の表を見て分かるように、排出量ゼロ(いわゆるCO2排出ゼロ)のクルマは、課金がゼロですが、、
  • 超低排出車両(ULEV)とされているCO2排出75g/㎞未満の4輪車から一日当たり2ポンド(£)(日本円で約300円)の課金
  • 更に古い車両になるにつれて、欧州での排ガス基準に沿って4ポンド(600円)、10ポンド(1500円)と課金が上がります
  • また、2025年8月以降はその倍の金額に上がるのです
  • ここでのポイントは、一日当たりでの課金という事。例えば、上記ULEVの場合、このゾーンに入る場合300円を払えば1日の中での出入りは何回でも可能というものになります。
  • ちなみに、外から入ってきた車両でそのまま一日駐車しゾーンから出ない車両は対象外となります

【取締り方法】

  • 道路上に設置したカメラにるナンバープレート読み込み
  • ゾーン内を走行する(走行した)日の前後6日以内にオンラインで支払い
  • 期限内に支払いが無い場合は、超過期間に応じて60£(9000円)~90£(12000円)の罰則金が課される

 

オックスフォードが課金制度を選んだ狙いとは?


当ブログでも昨年、グローバルにおけるゼロエミッションゾーンの計画状況や実施状況をレポートしましたが(参考記事:【欧州:自動車最新情報】EVを買わなければならないもう一つの理由(Zero emission zone))、
ここでも触れているように、ZEZ制度には主に2種類存在し、1つ目はゾーン内への制限車両の走行禁止(違反すれば罰金措置)、そしてもうひとつは、今回のオックスフォードが採用した課金システムにてEVでなくても走行を許す制度です。

✔なぜ、オックスフォードはこの世界でも類を見ない課金制度を採用したのか?

答えは、以下です。

  • 電動化シフトに向けた公平性とバランスの確保時間的猶予を与えるという事)
  • ゾーン内に居住する市民、またはゾーン内で働く者への配慮
  • 多くのCO2を出す車両には、走行禁止とするよりも高い課金レベル設定で電動化を促進
  • 過渡期における課金収入が見込める事から、それらを充電インフラ整備などへ充当

以上のように今回、オックスフォード市が開始したZEZ制度の中身を見てきた訳ですが、今後益々、各国の主要都市でこの動きが加速していく事は間違いありません。
自動車は、CO2排出量など環境性能への規制がクローズアップされがちですが、今回ご紹介したゼロエミッションゾーンの設定や、時速30㎞制限道路の拡大、そもそもクルマの数を街から減らし、クルマ以外の代替手段に振り向ける施策など、クルマを使用する側のマインドチェンジをもたらす動きが数多くある事を忘れてならないのです。

それではこの辺で。

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