【最新状況】欧州自動車CO2規制の改訂案に対する各団体の意見(まとめ)

Climate neutrality

今回は、欧州自動車CO2規制の改訂案に対するパブリックコメントが先週締め切られましたので、欧州の主要団体がどのような意見・提案を表明しているのか解説したいと思います。

欧州自動車CO2規制(改訂案)とは?

先ず、本ブログでも幾度となく解説している欧州自動車CO2規制ですが、復習を兼ねてざっくり今までの経緯をおさらいしましょう。

もともと2025年、2030年の自動車CO2削減目標を定めている現行法規((EU) 2019/631)は、2年前(2019年)に成立・施行されたものですが、
2050年のカーボンニュートラルおよび2030年までに温室効果ガスの排出量を90年比-55%を達成するため、”Fit for 55 Package″と銘打って、7/14に発表された様々な法規を改訂・新規提案した中の一つに、この自動車CO2規制の改訂案が含まれています。
(関連記事はこちらより→ LinkLink

どのように改訂されたかというと、下記のグラフに記載の通り、
2030年削減目標値が、-37.5%→-55%へ強化。2035年がなんと-100%削減(新設)という提案(要するに、BEV、FCEVなどのゼロエミッションカーのみ販売可能という事)を欧州委員会は出してきたという事です。


【資料】筆者作成(PDFで表示)

この欧州委員会提案に対し、パブリックコメントの募集が実施されていて、ちょうど先週(11/8)それが締め切られた訳です。

欧州主要団体はどのような意見・提案を出したのか?

それでは実際、欧州の主要自動車業界や環境NGO、そして日本の自動車業界はどのような意見、主張を言っているのか解説していきたいと思います。

今回、ピックアップした団体は以下7団体。(それぞれのリンクから各意見内容がご覧いただけます)

    ACEA(欧州自動車工業会)
    VDA(ドイツ自動車工業会)
    ANFIA(イタリア自動車工業会)
    CLEPA(欧州部品工業会)
    ICCT(環境NGO)
    T&E(環境NGO)
    JAMA(日本自動車工業会)

結論から申し上げますと、以下4点に集約されます。

  • 再生可能燃料の活用可能性、有効性を明確に述べているは、JAMAに加え、ANFIAとCLEPA(特にCLEPAは、WtW:Well to wheelの導入とセットでICE:内燃機関車両+再生可能燃料の有効性を強調)。ACEAとVDAはそこに言及していない。(RED:再エネ指令等、他法規での言及に留めている模様)
  • ACEAは、35年▲100%に対しても事実上のICE販売禁止を意味するという表現は使っておらず、あくまでもインフラとセットで考えるべきとの主張に徹している。
  • ANFIAは、具体的な2030年、2035年のCO2削減目標値を提示(Vansに対しては、2040年▲100%が可能と提示している)。
  • 環境NGOのICCTとT&Eは想定通り、CO2削減レベルの更なる強化とZLEVベンチマーク値の強化を主張。特にICCTはPHEVへの規制強化T&EはVansに対する厳しい規制にフォーカスしている様子。

欧州委員会の現行規制および今回の改訂案を含め、詳細は以下の表にまとめておりますので是非ご覧ください。

【資料】筆者作成(PDFで表示)

今後、このような様々な意見を基に、欧州議会、欧州閣僚理事会にて議論が本格的にスタート致します。
見込みでは2022年末~2023年上半期には決着するとの見方が大半です。
引き続き、フォローしていきたいと思います。

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