【最新統計情報】欧州自動車販売、コロナ前から3割超の下落。電動化率も頭打ちへ

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本日は統計データのお話をします。

今年も既に8月中旬に差し掛かっておりますが、欧州自動車工業会(ACEA)が発表した22年6月度の乗用車販売統計データを基に、欧州における22年上半期(つまり22年1月~6月)の自動車販売がいったいどのような状況なのか解説したいと思います。

1.コロナ前から3割超の下落

今回発表された統計データからポイントとしてあげられるのは以下3点。

  • 22年6月度も前年を下回り、前年同月比‐15.4%(886,510台)。   ※96年以来、6月の台数ベースで最低を記録
  • 昨年7月から12カ月連続の前年割れを記録
  • 22年1~6月の6カ月間(上半期)で見ても、前年同期比-14.0%(4,608,205台)の水準。(コロナ前の2019年比ではなんと”-33%減”

下記グラフは、毎月の販売台数を前年同月と並べたものです。
ご覧の通り、各月の左側の棒グラフ(つまり前年同月の販売ボリュームを示しています)より右側の棒グラフが下回っており、ついに12ヶ月間(1年です!!)ずっと前年を上回る事ができていないという事です。

上記のポイントでも書きましたが、
上半期の6か月で見た場合、前年比‐14%。コロナ前の2019年上半期を比較すると実に3割超も販売台数が落ちているのです。

これは、自動車を製造するにあたって必要な材料、部品から製造、販売、アフターサービスまで巨大なサプライチェーンで成り立つ自動車産業にとって、非常に由々しき問題なのです。

2.販売低迷がここまで続く理由とは?

主に2点あげられると思います。1点目は、ロシア‐ウクライナ問題の長期化、2点目として、資源価格高騰、インフレ圧力です。

まとめると以下のようなイメージです。

  • ロシア-ウクライナ長期
    • 半導体、ハーネス、部品・原材料不足・調達問題(リチウムやニッケル、マグネシウム、コバルトなどバッテリー材料の不足)
  • 資源価格高騰、インフレ、利上げ
    • 経済減速、景気後退、製品価格の値上げ、消費者購入意欲の減退

つまり、自動車を製造する資材全般が不足し、仕入れ価格も高騰。当然、車両の販売価格にそれが転嫁され、お客様にお求めやすい価格での提供が困難になる。
おまけに、世の中の景気減速、インフレ、物価上昇などで、市民がクルマにさけるお金の余裕がなくなり、販売も低調になっているという事なのです。

3.国別/メーカー別の状況

22年上半期の国別/メーカー別の状況は以下の通り。

  • 国別
    • 欧州5大市場の中で、ドイツ・スペイン・UKは10~12%の下落に対し、フランス16%、イタリア22.7%特にイタリアの下落が目立つ
      各国とも軒並み前年割れを記録するも、中にはルーマニアのように2割以上前年から上回る国も存在

  • メーカー別
    • 各社軒並み前年比を割り込み。特にボリュームとして1番大きい、VWグループは‐18.5%、2番目に大きいStellantisが‐22.5%と大幅に下落
      その中でもプラスを確保したのはHyundaiグループ(+9%)販売シェアも脅威の2ポイント上昇を記録しており、9.6%にまで上げている状況。
      また、トヨタグループもマイナスではあるものの、‐1.6%とHyundaiに続いて販売台数を前年並みに維持。

4.電動化率もついに頭打ちへ

ACEAは合わせて、22年第2四半期の燃料別(パワートレイン別)の販売統計を発表
ここで注目したいのは、全体の販売台数のうちBEV+PHEVが占める割合、いわゆる電動化率について解説したい。

22年第2四半期のBEV+PHEV合計シェアは18.6%(BEV:9.9%、PHEV:8.7%)。※前年同期のBEV+PHEVは15.9%)
四半期ベースの推移をみると以下。

    2021年Q1:14%
    2021年Q2:16%
    2021年 Q3:19%
    2021年Q4:24.5%
    2022年Q1:18.9%
    2022年Q2:18.6%(前四半期からやや微減)

毎年、年の上半期はそこそこの伸びを記録し、後半から年末にかけて一気に電動化率が上昇するのはお決まりの光景だが、(参考記事:【最新:2022年1月度】ドイツ、電動車比率が36%→21%に急減 !! その理由とは?)少なくても、Q1、Q2にかけても減少する事はこれまでなかった。

つまり、好調を維持してきたBEV、PHEVすらもここにきて、18%前後で頭打ちしてきている傾向が読み取れる。

2.で解説した通り、ここにも消費者の購入意欲が減退している事が見て取れる。

果たして、22年第3四半期はどのような状況になるのか、引き続きレポートしたいと思います。

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